「檻ノ蝶」

零れ落ちた雫が 映し出す幻
歪み行く世界には 淡い色の蝶

翅さえもがれて 形を変えて行くなら
どうか真実の姿 憶えていて欲しい

低く蠢く 闇の中 見えない空虚な腕が
細い体を蝕んで 消えない傷跡刻む


壊れて行く心は 何もかも閉ざして
絡み付く鎖から 逃れられぬ悪夢(ゆめ)

記憶も忘れて 眠りへ沈み行くなら
どうか目が醒める時は 隣にいて欲しい

響く足音 闇を這う 汚れた指先探り
逃げる体を引き摺って 開かずの檻へと隠す


光を痛みに塗り潰されても
壊れた世界に終焉がなくても

飛び立つ術さえ奪われた蝶は
静かに夜空を見上げ続けてる


癒えぬ傷跡 闇の果て 優しい貴方の腕が
震える体 抱き締めて 光を与えてくれる